「 あの時これ、落としてたよ。
キミのことずっと探してた あの日からずっと 」



歩みをとめない男に冷や汗が背中を流れる
差し出された生徒手帳に恐る恐る手を伸ばす
あと少し 震える手に力を込める



ガツッ。



「 捕まえた。 」



私の腕を力強く握ってニヤリと笑う男

ブンブンと腕に力を込めて振り払おうとしても
全く歯が立たない。

人間は本当に恐怖を目の前にした時
全く声が出ないとは聞いていたけれど
本当に声が出ない...



『 や...やめ... 』

「 あの日キミのことを見てビビッと来たんだよ 」



掴まれた腕がより一層圧力を感じて
顔を歪めることしか出来なくて

あぁ、やっぱり男と女じゃこんなに力の差があるんだな。
なんて冷静な判断が脳を過ぎる