「特待生専用寮(トクタイセイセンヨウリョウ)?」

「うん、他にも1人いるよ。」

「なるほど?」

「アイツはいつになったら”糧(カテ)”できるんだろうなw」

「さあね〜」

なんもわからないんだけど…

「あ、とりあえず入って」

「失礼します」

わ〜、これ絶対漫画とかでしかない豪邸かと思った…

「おい、お前そこ座れ」

「あ、はい」

私は髪の毛が金髪っぽい人の言うとおりにそこのソファーに座る。

その目の前に九音さんともう1人が座ってから口を開いた。

「これから俺の糧になれ」

「………」

「こ~ら、もっとわかりやすく説明しないと」

「………」

え、糧?糧ってご飯とか食料的な意味じゃない?

何事で?

「九音が何言ってるかわかんないって思ってるでしょ」

「いや、マジで何言ってるかわからないんですけど…」

こんな状況で分かる人いるのか?逆に

「じゃあ僕が説明するね」

「はい、お願いします」

「この学校には吸血鬼と人間の2種類がいる。そこは把握してる?」

「はい」

それは幼少期に沢山教わってきたことだ。

「吸血鬼は人間の血を一定期間の飲まないと死んじゃう」

「だからさっき九音さん体調悪そうだったんですね」

「多分な」

「で、多分九音は乃々花の血が美味しかったからこれからも吸わせてくれってことだと思うんだよね」

「でも糧になる=生涯(ショウガイ)を共に生きるから結婚するのと実質同じだって…」

「うん、そうだよ」

なんでそんなニコニコしてんの?この人

「え、とりあえず私は九音さん?の糧になれば良いんですか?」

「うん。そういう事」

「ちなみに九音さん、なんで私なんですか?他にも女の子はいっぱいいるのに」

「お前がミルキーローズだから」

「ミルキー…ローズ?」

「あれ、自覚ないの?」

「…?」

「ミルキーローズはね、他の人に比べて血が甘いんだよね」

「なるほど」

「さっき君のことを連れてきた子いたでしょ?」

「あ、一華ちゃんのことかな?」

「わかんないけど、その子もミルキーローズだね」

「じゃあ一華ちゃんにすれば良いのでは…?」

なんか仲間を売ったみたいな発言になってる…?!

「いや、俺はお前がいい」

そんなこと考える余裕はなさそうだね、うん(自己完結)

「……拒否権は?」

さすがにくれるよね…?

「拒否権はねえよ」

「スーーーわかりましたよ」

「よーし。じゃあ契約したってことで、あとで色々やってね。九音と」

「はい」

なんとなくわかった気はする

「ほら、くーちゃんは早くしな」

「ああ、わかってるよ」

と言って立ち上がった九音さん。

「おい乃々花」

「はい?」

「こっち来い」

「…?わかりました」

私は言われるがまま九音さんの方へ行く。

ガチャッ

「ここ入れ。あ、葵は待ってろ」

「うん、わかってるよ」

わー、なんかドス黒い笑顔だなぁ…

「おい乃々花、早くしろ」

「あ、はい!」

ヤバい、考え事なんて呑気(ノンキ)にしてる余裕は無いんだった

「失礼しまーす…」

ソッと中へ入る

「おい、ドア閉めろ」

「あ、はい」

バタン

と言われた通りにドアを閉める

すると…

ドンッ

「へ?」

なんということでしょう、前はドア、後ろに九音さんという現場。

いわば壁ドンというやつか…

「お前さ葵と距離近すぎじゃね?」

「え、そ、そうですかね」

「ああ、近い。近すぎだ」

ええ、そんな事言われてもわかんないんだけど…

「どうすればもうちょっと離れる?」

「あ、葵さんとですか?」

「そう」

そんな事言われてもなぁ…

「私達、今日が初対面ですよ?」

「だからなんだ?」

「え…」

マジでなに言ってんの?

「そんな事言われても…」

「はあ…なあ」

「はい」

「1回いいか?」

「うえ、何がですか?」

「ちょっと失礼」

そう言って私のリボンへ手をかける九音さん。

「へ、ちょっ」

後ろへ下がろうと思ったものの後ろはドア。

しかも相手は吸血鬼。我々人間よりも強いから逆らったらダメなんだっけ?

知らんけど(((

そのまま九音さんはリボンを解きボタンを1つ1つ外してゆく。

そして3つ目まで外し終えた所で彼の手は止まった。

「なあ、乃々花」

「は、はい」

「痛くても多少は文句言うなよ」

「へ?痛いのは少し避けていたd…___」

チュッ、チュッ、ジュッ

「イッ」

「プハッできた」

「な、何を…」

「んー…そのうちわかる」

「…なるほど」

全くわからん☆でも吸血ではなかったには事実ですね。

「あ、あの。もう戻っていいですか」

「あ~…あとこれだけやるぞ」

「今度はなんですか…」

スーー

ピアッサー…かな?

「ほら、耳出せ」

「え、開ける感じですか?」

「当たり前だろ、契約するんだぞ?」

…マジカヨ

「…わかりましたよ」

「ん」

ソッと九音さんが私の耳たぶに触れる。

「ンッ…」

九音さんの手の冷たさのあまり声が漏れてしまった

「…」

ああああああ…この沈黙がとっても気まずいですね!!

「じゃ、やるぞ」

「はい!」

あー…怖い。神様、助けて

バチンッ

「ん、終わった」

「あ"あ〜…怖かった〜…」

「ん、良い子」

ナデナデ

「んふふ、ありがとうございます」

「……別に//」

耳真っ赤だな…

「あの、今度こそ戻っていいですか?」

「ああ」

「ありがとうございます」

ガチャッ

「あ、おかえr…」

「ただいま〜…?」

なんで止まった?

「はい、乃々花ちゃん。」

「え、絆創膏?」

「うん、だってそんなところにキスマークあるとみんなに見えるでしょ?

だから…」

え、今この人

「キスマーク???」

「おい葵、それはそのまんまでいいんだよ」

「なんでよw」

「虫除け」

「そっか、乃々花ちゃん。やっぱり大丈夫だよ」

「???とりあえずわかりました」