月兎…なんだかあってる気がする。
夜みたいな…ミステリアスな雰囲気がある。
「よろしくね?運命の人。」
そんなことを言ってにこって微笑んだ。
そんな綺麗な笑顔にドキッとしちゃった…
「…はい?」
「美羽ー」
と、お父さんの声が聞こえて、
キッチンに向かう。
「…はーい」
「あっ!ご注文は?」
「…ガトーショコラください。」
「はい!」
「美羽、聞こえてたぞ。」
「ん?」
もしかして…
運命の人のこと?こんな時お父さんはどうするんだろう…
「運命の人だってな!!」
あっ、そうだ。お父さんはこういうのがお母さんと同じで、大好きだった。
「う、うん。」
「お父さんに会わせてー」
なんて、月兎さんの方に向かっていく。
えっ、会わせていいものなの?
まだ、会って合計でも、数分だよ?
そんなことを考えてると、
店内の方からお父さんの声。そして月兎さんの声が聞こえてくる。
それはそれは、すごく楽しそう。
仲良くなるの早くない?!
「お、お父さん!!」
私も慌てて、月兎さんの方に向かうと、
「えっ、いいんですか?」
「あぁ!今日はもう人来ないだろうし、楽しんでおいで!」
「…な、なんの話を」
話を聞こうとしたのに…
「美羽、着替えてきな。」
なんて、言われたので
素直に着替えに行く。
…今日は、もうお店閉めるのかな?
そんなことを考えてると、下から
オシャレしろよーなんて言う、お父さんの声が聞こえる。
「う、うん?」
もう家から出ないのに?
オシャレ?
どっか行くのかな。
まぁ、いいや、服とか好きだし、
気分も上がるし、かわいい服着よー!!
そして、数分経って、私が選んだ服は、
茶色をメインにして、後ろに大きなリボンがあるワンピース。
髪の毛は…
ちょっと巻こうかな。
私の、茶色の胸上ぐらいの髪を軽く巻いて、
リップをつけて。
「んっ、おっけ〜」
よし、早く下行かなきゃ!
「お父さーん、オシャレってなんでー」
と、階段を駆け下りていく。
下に行くと、お父さんはいなかった。
お客様も。
今日、急用でもできたのかな?
「お父さーん」
「美羽」
「えっ」
シーンとした店内の中、1人の男の人の声が響いた。
「…月兎さん?」
「うん、こっち来て。」
「えっ…で、でもお父さんは?」
そんなことを言うといいからなんて返されてしまった。
月兎さんは店内から出ると、
お父さんのことを教えて貰った。
月兎さんが言うには、お父さんが、
…今からデートしてきていいよって言ったらしい…
…私、娘だよ?心配じゃないの?
しかもわざわざお店まで閉めて…
本当に、今日が優しい常連さんばっかで良かった…
「あ、あの…どこに行くんですか?」
「んー…秘密ー」
…どこ行くかぐらい教えてくれてもいいじゃん。
その後は、無言の時間が続いた。
…でも、甘い匂いするからお腹空いちゃった…
「ぐー」
「…」
さ、最悪…
お腹なっちゃった…。
「お腹すいた?」
私のお腹の音を聞き、月兎さんは、気お使ってくれて、そんなことを聞いてくれた。
「…だ、大丈夫です!!」
迷惑だもん…
「んー…甘いの好き?」
「…はい」
なんでそんなこと聞くんだろう。
「ん、じゃあちょっとまってて。」
「あー、なんのフルーツ好き?」
フルーツ?
そんなの、決まってる!
「いちごです!」
「ん、じゃあ待ってて。」
なんて言って月兎さんはどこか言ってしまった。
それと同時に甘い匂いも消えた。
何分か経った時、月兎さんが何か持って戻ってきた。
「ん、どうぞ」
と、月兎さんが渡したのは。
「こ、これ今話題のクレープですよね!」
「…そうなの?」
「はい!」
月兎さんは知らなかったみたい。
「…食べていいんですか?」
「いいよ」
あっ、お金!
カバンからお財布を出すと。
「金いらないよ?」
「えっ、でも」
「いいから。」
「払います!」
「いい。」
と、言われお財布を強引に私のカバンに戻されてしまった。
…どうしよう…
今度、お返しに何かプレゼントする?
うん!そうしよー!!
「…早く食べな?」
「…あっ、はい!」
と、私はパクッとクレープを口にすると、
「うーん!美味しい!!」
口には、ホイップといちごの味がひろがった。
「ん、それは良かった。」
と、言いながら月兎さんも、クレープを食べ始めた。
「月兎さんはなんのクレープですか?」
「ん、チョコ」
「チョコ?」
「食べる?」
と、クレープが差し出されて、
「えっ、いいですよ?」
「ん、いいから。」
と、言われ月兎さんのクレープを口にすると、
「ん、美味しいです」
「…可愛い」
「えっ?」
「…いいや、関節キスだな。」
…あっ…
その言葉を言われた瞬間顔が赤くなったのが、
自分でもわかった。
「顔真っ赤。いちごみたい…」
なんて言いながら月兎さんは声を出して笑った。
…可愛い。
こんなに笑うんだ…
「も、もう!笑わないでください!!」
「ふっ、ごめん」
なんて言いながらも、まだ笑ってるし…
「俺にもちょうだい?」
「えっ?」
そんな返しをすると、
月兎さんは私のクレープを指している。
「あっ、はい!」
…って行き良いよく渡しちゃったけど…
これもまた…
「ん、美味しい」
なんて思った瞬間には遅くて、月兎さんは
いちごのクレープをもう口にしていた。
「あれ?また顔赤くなったね。」
…月兎さん意地悪…
「…意地悪ですね…」
「…そう?まぁ、俺が意地悪しちゃうのは、興味ある子限定。」
「なっ…」
そんなことを言われて、月兎さんから目線を外した。
は、恥ずかしい…
「ん?どうしたの?」
なんて、また意地悪…
「な、何もありません…!」
「くくっ」
なんて月兎さんは笑っていた。
やっぱり、可愛い?
その後は、普通にクレープを食べて、
今は、どこかに向かっている。
「…なんかいい匂いしませんか?」
「ん?そう」

