諦めてくれないんかーい。
『花岡さんにはふさわしくない』とか、私のこと理解してますみたいな言い方やめてほしい。
心の中で文句をこぼしながら、自分の腕をすずくんの腕に絡めて、「それではご機嫌よう〜☆」と一言残し、私たちはそそくさとその場を立ち去った。
「……また巻き込んじゃってごめんね…」
「……」
彼の腕を離し、1人分の距離をあけて、駅へと向かう。
なんだか体力を消耗しすぎたような気がして、体が重たく感じる。
はぁ…と私は深いため息をついた。
結局、諦めてはくれなかった。
どうしたものか。
彼氏(ウソ)を呼べって言うから連れて来たのに。
「……おい」
うるさいな。
今考え事してるんだから話しかけないで──…
「聞いてんのか。止まれって言ってんだ」
「何か用!?これからコンビニ行くんで──…」
勢いよく振り返ると、すずくんが何故か電柱にもたれながらじーっと無表情でこちらを見ていた。
偉そうに腕を組み、片足を少しだけ浮かせている。



