すずらんに幸あれ!



「……もしかして、すずくん。昨日、私の裸見たこと思い出して取り乱してる…?」

「……そんなわけにっ…ねーだろ」


舌を噛んだような話し方で、すずくんはさらに目つきを鋭くして睨んでくる。


「そんな挙動不審にならなくても…」


何事もなかったかのように、いつも通り話しかけたのだが、恐怖に満ちた表情を向けられた。

よっぽど、不快な思いをさせてしまったのだろう。


「ごめんね。昨日は私が完全に悪かったよね…。今後気をつけるから、その……」

「……あぁ、いや。俺の方こそ、ごめん……」


すずくんは、ばつが悪そうにしながら目をそらした。


「なんですずくんが謝るの?」

「……」


すずくんが謝るなんて、らしくない。
そもそも、すずくんって謝れるんだ…。(物凄く失礼)

気まずそうに顔をそむけるすずくんの耳が赤い。

よく見ると、耳の根元まで真っ赤だ。


「……すずくん、照れてるの?」

「…あ?」

「耳、赤いけど…」

「……」


すずくんにも「照れる」という感情があったのかと再び失礼なことを考える。

私以外にも、いろんな女の子の体なんてたくさん見ているだろうに…。

私はフッと笑みを浮かべ、すずくんの肩を叩く。

ぽんぽんっと叩きながら、慈愛の眼差しを向けた。


「…すずくん、きみってやつは。本当、すずくんはかわいいね」

「…あ?かわいくねーわ、あほ」


この後、私たちは仲良く遅刻した。