すずらんに幸あれ!


だけど、一緒に暮らすことになったという件については私は悪くないので許してほしい。

ぐるぐると考え事をしていると、あっという間に最寄り駅に着いた。

改札を通って、駅を出ようとするとざあーっという、雨の音が耳に入った。

見上げると、案の定、雨が降っていた。

大粒の雨がアスファルトを強くたたきつけるように激しく音を立てている。

これは、しばらく止みそうにないだろう。

運が良いことに、折り畳み傘を持っている。


駅の出入り口付近で雨宿りをしている人たちの中を通り抜け、鞄から折り畳み傘を取り出す。

さあ、傘をさそう…と思った瞬間、見覚えのある後ろ姿が視界に入った。


「すずくん…?」


本人かどうか確かめながら顔を覗き込む。

すると、私に気づいたすずくんは少し不思議そうな表情で「ドッペルゲンガー…?」と首を傾げた。



「なんでそうなんの。ドッペルゲンガーなわけないでしょ」


すずくんって冗談を言う人だったのか…と驚きつつ、どうしても聞きたいことが1つあった。


「すずくん。私、メッセージ送ったんだけど、見てくれた?」


未読無視ですか?
既読がつく気配が全くしなくて早く見てほしかったんですけど?