すずらんに幸あれ!


写真に写っている秋山さんの彼女の姿を見て、私はぎょっとする。


「お、おぉ…」


彼の言う通り、秋山さんの彼女は紛れもなく人形だった。

驚きのあまり、私はどのようにして答えればいいのかわからず、微妙な反応をしてしまう。


「この方は、三日月(みかづき)アンナちゃん。拙者の彼女でござる。ちなみに、アンナちゃんは『ドキドキ♡ガールズメモリー』という、男性向け恋愛シミュレーションゲームに登場する攻略キャラクターの1人でござる」

「二次元じゃんっ!!!」


ツッコまずにはいられなかった。

着せ替え人形玩具サイズの三日月さんが上品に椅子に座って微笑んでおり、写真の彼女と目が合っているような気がした。


「……今、『気持ち悪い』と思いましたよね?」

「えっ、いや…。別にそんなことは……」

「『気持ち悪い』『変なの』と、思うのが普通の反応でござるよ。だけど、拙者はアンナちゃんに出会ってから、現実の女性に恋愛感情を抱けなくなってしまったんでござる」


『現実の女性に恋愛感情を抱けない』という、秋山さんの言葉に「ほえー…」と返事をした。

そして、三日月さんが写っている写真に再度視線を戻す。