「めるちゃーん、おはよ〜!」

「蘭!おは……えっ、なんで小鳥遊鈴がいるの?」


いつものように最寄り駅に到着し、手を振りながらめるちゃんに挨拶をする。

めるちゃんは、私の後ろにいるすずくんを見て大きく目を見開いた。


「すずくん、方向音痴らしいから、しばらく一緒に学校行くことになったんだ〜」

「ふーん」


頭上の方から「俺は方向音痴じゃねえ」と聞こえてくる。

めるちゃんと合流できたことなので、私たちは改札を通って、ちょうどいいタイミングで来た電車に乗り込んだ。


「……蘭と小鳥遊鈴が一緒に暮らしてるっていうのは本当だったんだねぇ…」


腕を組みながらじー…っとすずくんを見据えるめるちゃん。

めるちゃんに見られているにも関わらず、すずくんは扉にもたれて外を眺めている。


「蘭、大丈夫なの?」

「ん?何が?」

「何がって…。年頃の男女が一つ屋根の下で暮らすなんて、恋愛に発展するフラグ立ってるじゃん」

「いやいやいや、ありえないって!そもそも、私、すずくんのことタイプじゃないし、絶対好きにならない自信あるもん」