すずらんに幸あれ!


「おい、何固まってんだ。さっさと洗ってこい」

「はい?嫌なんだけど。そもそもちゃんと前見て歩いてなかったのが悪いんじゃん。自業自得だ!!」

「巻き込んだ詫びに何かするって言ってたろ。だから靴洗ってこい」


「近くに公園あるから早く行け」と靴を渡され、彼の偉そうな態度が癪に触り、苛立ちを覚える。


「『お詫びに何か奢る』とは言ったけど、『何かする』とは言ってないもん!自分の不注意なんだから、それくらい自分で洗ってきなよ!」


言い返すと、すずくんは面倒くさそうな表情で舌打ちをする。


「もういい。なら、おまえのそれ(・・)で拭いてやる」


手がこちらに向かって伸びてきて、ぐいっとスカートの裾を掴み、引っ張られた。

そのままバランスを少し崩し、すずくんの方へと一歩距離を詰めてしまう。


「なっ、えっ、何してんの?離してよ。スカートの中見えちゃうんですけど!!」


スパッツを履いているから、下着は見られずに済むけど、側から見たら、絵面がとんでもないことになっていると思う。


「今はそんなことどうでもいい」

「どうでもよくないんですけど!?セクハラですけど!?」

「さっさと選べ。俺の靴を洗ってくるか、このままおまえのスカートでうんこを拭くかのどっちかだ」

「うっわ、きもっ!最低っ!!」