まだ寒気の残る朝の空気にうーんと背伸びをする。
と、前方に見つけたひとつの背中。
「____碧くんっ!」
早朝の、人気が少ないのをいい事に思いっきり声をかける。
私の叫びに気づき、ふわっと効果音がつきそうな速度で振り返るのは
私の憧れの人、宮原碧唯くんだ。
……なんでだろう、彼が振り返ると離れていてもいい匂いがしてきそう。
(ん、当たり前だけど今日もスタイルいいなぁ……)
すらりとした全身に、日に焼けて少し色の抜けた茶色よりのさらさらな黒い髪。
末広の二重を拵えた美しい目元と顔立ち。
細身に見えて筋肉がついてることを主張するような肩や腕。
---ぷりっとしたお尻……
だめ、今日も今日とて全てがすきだ。
こちらを振り返ったまま止まっているということは、隣に行っていいという合図だ。
---もっとも、許可がなくても猛追するが。