【コミカライズ】それの何がいけませんの?

 まさか、と思いつつも反射的に父上を見遣る。

 父上はあの日と同じ、真っ青な顔をしながら呆然と立ち尽くしていた。





(本当に?)





 エルビナが? 俺の可憐なエルビナが?

 そんな、悪女のような真似事をしたというのだろうか?





「まだ信じられないようだな。だが、僕はエルビナが彼女達と密会していた証拠を押さえた。それから、この女の金の動き! エルビナは僕が浮気をする直前に大金を動かしている。突き詰めたら、令嬢たちも白状したよ。この女の依頼で僕を誘惑したと」





 兄上の後ろには三人の令嬢が立ち並ぶ。一様に気の毒そうな表情を浮かべ、こちらをそっと見つめていた。





「エルビナ……」





 本当なのか?

 本当に、エルビナが兄上を嵌めたのか?



 エルビナは微笑む。いつもと同じ、優美で可憐な表情で。

 ああ、そうだ。やはり違う。

 彼女は聖女で、優しい心の持ち主で――――