【コミカライズ】それの何がいけませんの?

 開いた口が塞がらない。彼女が聖堂で、街で、人々を癒している姿を俺は見ている。頭痛や腹痛と言った見えない部分はさておき、実際に傷が癒える様子だって見ているのだ。エルビナの能力は疑いようがない。この場に居る誰もが――兄上以外の皆が――そう思っていた。





「それだけじゃない。この女は王太子である僕に対し『もっと民を見ろ』『浪費をするな、倹約をしろ』『勤勉であれ』『誠実であれ』などと口を出し、社交や夜会の邪魔をした。この女のせいで潰された話がいくつもある。本当に腹立たしいことだ」





 兄上はそう言って悔し気に顔を歪める。

 が、正気だろうか?

 

 エルビナは当たり前のことしか言っていない。兄上のサボり癖については、側近達に泣きつかれたこともあるし、容易に想像がつく。もちろん、一般人よりは働いているかもしれないが、俺達は王族。常に他の手本となり、皆を率いていく責務がある。

 普通じゃダメだ。もっと先へと進まなければいけないというのに。