この街で君を拾う

「いえ、今日は休日で、晩ご飯の材料を買いだめに」

「ていうか、隣にいる人、彼氏さん?」

急にニヤニヤしながら私と日向君を交互に見始めた。

「ち、違います!今日初めてあった人で!!」

「あら、そうなの?」

絶対分かってくれてない。

「まいどあり、またおいで〜」

相変わらずのニタラ顔で私達を見送ってくれた。

スーパーから出ると、月が出始めていた。

もうすっかり夜になっていたのだ。

「俺達、カップルに見えてるんですね」

横に並んで歩いているから、表情がよく見えないが、照れてるんだなぁ〜ってことは分かった。

「そ、そうみたいですね。私、誰かとお付き合いなんてしたことないから、分かんないですけど」

「そうなの?!」

「そ、そんな驚きますか?!じゃあ、日向君は交際経験がおありなんですか?」

「な、ないです」

「一緒ですね。…あ、うちここです」

所々錆び付いた階段を登ってすぐの部屋が私の家だ。

住めれば良しと思って、まぁまぁボロい。