この街で君を拾う

「じゃあ、もう敬語は無しで、いいよね?」

「うん!」

自己紹介を終えたところで、私達の順番が回ってきた。

海の方を背景に道路の真ん中辺りに立つ。

「ほら、もっとこっち寄らなきゃカメラに収まんないよ?」

「そ、そうだね///」

男性とツーショットなんて撮ったことないから緊張する。

「ひゃぁ!!」

私がモタモタしているせいか、ぐっと肩を抱かれた。

私の右肩が、日向君の胸に触れ、大きな左手で左肩を包まれる。

「ほら、笑って笑って!じゃ、撮るよ〜」

緊張し過ぎて笑顔なんて作れない。

必死にカメラと目を合わせるだけで精一杯だった。

だから…、

「ちょっと、日和ちゃん、カメラ睨み過ぎ!」

笑われてしまった。

ほんと写り最悪だわ。

「ねぇ、もう1回撮り直そう!ね?!」

「だーめ、他にも順番待ちしてる人いるんだから」

優しく諭され、次の観光スポットに向かうことにした。