その物語は本とは言えない薄い冊子に描かれていた。

 少し黄ばんだ和紙のような紙に、躍動感のある龍が筆で描かれ、その怒りともとれる鋭い眼がこちらを見ていた。

 なぜだか分からないゾクッとした感覚に、5ページほどしかない物語は、永遠に続く長い上り坂のように思えた。

 歩いても、歩いても続く険しい道。この物語は私に何を伝えているのか……それを今も探している。