「莉子ちゃんの代わりにお母さんが来てるけど、オリジナルブレンドティーは莉子ちゃんの方が美味しいかもね」

「もーそんなこと言わないでくださいよー。聞こえてますからねー」

「あはは」

 厨房からのお母さんの言葉に、お客さんがみんな笑った。


『莉子ちゃんの代わりにお母さんが来てるけど』なんて。ここはそもそもお母さんの店なのに。

 ここが私の居場所になったようで嬉しかった。

 会社員も経験したけど、慣れない営業と人の多さと。そんな人間関係と。

 今思えば、私には合わなかったのかもしれない。

 自分に紅茶の知識がしっかりあるわけじゃないし、親の店で働かせてもらうなんて、このままでいいなんて思ってなかった。だからいつかはって考えていたけど、私はこのまま、ここにいてもいいのだろうか。