おばあちゃんからもらった『ドラゴンヘッドとドラゴンテイルの物語』を何度も何度も読み返していた。
それは、サンタさんが言っていた過去世とか今世とか、宿命、輪廻そのことについてもっと知りたいと思ったから。
でも、このドラゴンヘッドとドラゴンテイルの物語を、何度読んでもそれは見つけることが出来なくて。
おばあちゃんはどうしてこの本を私に渡したんだろう? 私にもっと伝えたいことがあったのだろうか。
何を伝えたかったんだろうか……。
「……」
顔を上げると、お店脇の階段を上がってくるサンタさんの姿が窓ガラス越しに見えた。
『テナント』と書かれ閉まったままの向かいの店をじっと見つめ、そして、こちらへ振り返り目が合った。
笑顔を見せて頭を下げるしぐさに、ドキンと胸が鳴った。それと同時にそっと開いたドアから小さな鈴の音が聴こえた。
「こんにちは」
「サンタさん、いらっしゃいませ」