冷徹上司の過剰な愛

インスタントしかないけど大丈夫だよね?


難波さんの背中をチラチラ見ながらそんなことを思う。


自分から誘っといてこんなこと思うのは変だけど、この部屋に難波さんがいるのが不思議。絶対有り得ないと思っていたのに。



「あのん。僕は長居するつもりないよ。」


「え?…、」



気づくと難波さんと瞳が絡んでいた。



「あ、ですよね…。」



そうだ。もちろん難波さんは帰るよね。なんか変な錯覚起こしてた…かも。



「まるで僕に帰ってほしくないような顔してる。」


「っ、……。」


「…あのん。僕だってまだ居たいよ。だけどこれ以上一緒にいると僕の理性が持たないと思う。」


「え、…り、せい…?」


「こんな時にそんなこと…さすがに不謹慎すぎるから出来ない。僕の気持ちも分かってほしい。」


「…はい。」



差し出したコーヒーを口に運ぶ難波さんにドキドキしながら、ただ見つめる。


そしてコーヒーを飲み終わると、難波さんは玄関へと向かった。