「いやあああっ!!」
自分の叫び声で、目が覚めた。
すぐに柾樹さんが部屋に飛び込んできて、泥棒でも入ったのかと辺りを見回す。
一通り見た後、私に尋ねてきた。
「梨香、何があった?」
「…夢、かな?」
「かな?って…。」
夢の中で、叫んだのは確か。
「忘れちゃった…。」
嘘。
ホントは鮮明に覚えてる。
いつもだったら、柾樹さんに抱きついて思いっきり甘えてる。
だけど今日は柾樹さんの手を振り払った手前、自分の都合がいいようにはできない。
思いっきりため息をついた柾樹さんが、私に言い放った。
「時間考えろよ、近所迷惑だ。」
なっ…何よ、そんな風に言わなくたっていいじゃない。
私は、恨みがましく柾樹さんを睨みつけた。
寝室に戻ってく柾樹さんが、一度だけ振り返った。
「梨香、やっぱり…。
いや、何でもない。」
柾樹さんはそう言うと、寝室に戻ってしまった。
今、何て言おうとしたの?
一緒に寝てくれるんなら、私はそうして欲しかった。
言いかけた言葉をちゃんと聞き返せば良かったと思いながら、私は再び布団に潜り込んだ。


