食事もケーキも出来上がり、二人して小さなテーブルに向かい合っている最中、

「あ、ラジオでもクリスマス特集やってるんだね」

そう言うイタミンに、そうだねと返すが、気が気でない。

「それじゃあ、次の葉書いきましょうね、えー、次は東京の大学1年の女の子から」

DJの声に、ドキッとする。

「ラジオネームは…エルちゃん」

その言葉に、イタミンの箸が止まる。

「4月23日のサン・ジョルディの日、同じ大学の見知らぬ男の子から、本に薔薇を一輪添えてプレゼントされ、その時に彼は告白してくれました。以来ずっと、友達として濃密な日々を送ってきたのに、私はなかなか彼に告白することが出来ませんでした。それは、自信のなさだったり、誰かを好きになること自体、初めてだったので、慎重になり過ぎたからだと思います。でも、今夜こそ素直に伝えたいのです。イタミン。あなたみたいな純粋で素敵な人は、きっと何処にも居ない。私は、初恋も最後の恋も、あなただけに捧げます…」