そこには、つけまつ毛をフサフサにつけた濃いメークの顔があった。


髪も金髪に近い茶髪だし、間近で見ると萌香よりずっと派手だ。


見た目の迫力に圧倒され、慈雨は「そうだけど……」と返事した。


「やっぱり!で、どっちのファン?尚?真広?」


「……真広くん……」


「よかったー。私は尚」


「よかったー」という言葉に若干の違和感を覚えながら、慈雨は「……そうなんだ」と相づちを打った。


ここでようやく慈雨の戸惑いに気付いたのだろう。


派手な子がようやく自己紹介する。


「私、佐藤綺羅(さとうきら)。よろしくね」


作り物かと疑うほどの満面の笑みだ。


「あっ……山田慈雨です。……よろしくお願いします」


「えー、なんで敬語?かたいかたい」


「……ごめん……」


慈雨はとっさに謝っていた。初対面の人とうまく話せないのがもどかしい。


もしかして……友達になれるのかな……?


やっぱりいつも、慈雨を救ってくれるのはAOだ。