Touch me 〈White Snow 〉 飲み会行ったら合コンでそこに彼氏がいるのはどゆこと?編

男性陣は年齢の幅が少し広いのかな。
よく見ると、男性陣もみんなかっこいい人ばかりだ。

今日のコンパの顔面偏差値はかなり高い。
多分、仕事もできる人達なんだろうなあ。
とりあえず、営業にいるメンバーは営業成績が高く、性格もいい人が揃っている。

松本さんが言う通り、ハイクラスが揃ったんだと思う。

その中でも、晴久がダントツにかっこいい。
きっと今日もモテモテになることは間違いない。
そう考えると、もやっとする。


「私、この『3種のクラフトビール』って言うのが気になってるのよ」
好きな3種類のビールを少しずつ飲めるというお奨めマークの付いた写真を指さした

「面白そうですね」
「でしょ?」



気付けば営業部の5人が集まって試飲会が始まっていた。

盛り上がる中、秘書課二人もこちらに
「面白そう~」
「何呑んでるんですか~?」
と輪に入っていた。
ふと気が付くと、秘書課の柏木さんが晴久の横に座っていた。
代わりに、晴久の横に座っていたはずの片桐さんが柏木さんの椅子に座っている。

柏木さんは晴久の頼んだ3種類のビールを味見と称して、飲んでいる。

私はそれにイラっとしていた。


「わ。これ、おいしい!前野君も飲んでみる?」
柏木さんがにこっと微笑んで晴久に尋ねた。
「いえ。大丈夫ですよ。
あ、それ、生ハムとかスモークサーモンに合うってありますよ」
「へえ、詳しいんだね」
「全く詳しくないですよ。さっきもらった説明に書いてあるだけですよ。
でも、榊さんは詳しいらしいですよ。ですよね?」
突然話を振られて驚きなら榊さんは返事をした。
「え?ああ、取引先にクラフトビールの好きな部長がいてね、いろいろ教えてもらったことがあるんだよ」
「へえーそうなんだー」
榊さんが柏木さんに話しかけ始めた。

晴久が私に向かって2つのビールを指さした。
「倖さんはどっちが飲んでみたい?」
3種のビールのうち1つのグラスは柏木さんに奪われている。

「前野君はどちらも飲んだの?」
「飲んだよ。一つは辛口。もう一つは爽やかな味かな。どっちにする?」
「どっちがどっちかは教えてくれないんだ」
「言ったら面白くないじゃん」
「ん-。じゃ、こっちもらう」
「はい」
と渡され、クンっと香りを嗅ぐ。
当たり前にビールの香りがした。
ごく。

「にがっ」
めちゃめちゃ苦い。
「これ、辛口のほうだ!」
「あたりー」
「あ。でも、なんか、すごくいい香り」
「飲んだ後の香りが濃いよね」

晴久が私が飲んだグラスを手に取って口をつけた。

ごく。

間接キスだ・・・。


「苦いけど、癖になる。肉、食べたくなる」
「あ、わかる」
「こっちも飲んでみる?」
「うん。飲みたい」

晴久にもらってごくりと飲む。

「ほんと、爽やか~。ビールなのに白ワインっぽい味がする」
「白ワイン?」
「うん。あれ?しないかな?」

ごくごく飲んでいると、
「俺も、飲みたい」
と言うのではいと渡す。

「うん。あ。白ワインぽいってなんかわかる!
同じビールなのに全然違うね。
他の種類も飲んでみたくない?」

「じゃ、違う種類頼んでみようか」
「うん」

ふと前を見ると、秘書課の柏木さんがこちらを睨んでいる。
目が合うと、にっこりとほほ笑まれて、
「お二人、仲がいいんですね」
と言われる。
お美しい微笑み過ぎて、むしろ恐い。

「ふ、普通ですよ。営業で一緒だから話しやすい…みたいな」
平静を装って微笑み返す。
柏木さんの視線に耐えれず、目をそらしてまたビールを飲んでいたら、

「わりいー、遅くなった」

遅れてきた男性社員が顔の前で手を合わせ、ごめんのポーズをしながら現れた。
あ。この人・・・。