「やば・・・」

晴久が呟いた。


晴久は、唇を離し、ぎゅうううっと抱きしめながら、呼吸を整えている。

「初めてのキスなのに、酔ってしちゃった。
ごめん・・・俺、止まんなかった」

抱きしめたまま呟かれた。

私は晴久の肩に手を回していた。



「やばい・・・好き過ぎる・・・」
耳元で囁かれて、ドキドキが止まらない。

私は肩から背中に手を下ろし、晴久に負けないくらいぎゅうっと抱きしめた。


「晴久・・・」

「んん?」

「あのね」

「うん」

「・・・好き」



晴久が一瞬息を呑んだ。

そして、深ーく深呼吸をした。

「ふうー----」

もう一度深く深呼吸をする。

「晴久?聞こえた?」

もう一度息を吸い込んで、

「はっ」

と短く息を吐いた。

「聞こえた。嬉しすぎて理性が飛びそうだった」

「ふっ。なにそれ?」

「智花?」

「ん?」

「もう一回言って」

「ふふっ。・・・晴久・・・大好き」


「はあああああ。めっっっっっっちゃ、幸せぇぇぇぇぇ」

ぎゅうううううっと強く抱きしめられた。

「はははは」

晴久の上半身が少しだけ離れた。

私の顔をじっと見下ろす。
私は晴久の顔を見上げている。




付き合う時に
「ゆっくり好きになってくれたらいい」
と言われていた。

この1か月。

晴久とたくさん話すようになった。
仕事での様子も気にしてみる様になった。
ご飯を食べに行ったり、デートもした。

少しずつ、でも確実に晴久のことを好きになっていく自分に気が付いていた。



今日みたいな合コンで、私より年下のきれいなお姉さまたちに囲まれたら、晴久はそっちに目を向けてしまうんじゃないかってもやもやした。
近付いてくる美女たちにいらっとした。


でも、大丈夫。





「好きだよ、智花」




晴久はその表情全てで私への好意を伝えてくれてるから。



「大好き」

愛情の籠った優しい目を向けられ、私は嬉しくて胸がいっぱいになる。



「智花・・・大好きだよ」






そして、ゆっくりと優しいキスをした。