と言った八重樫さんは串に刺さった輪切り玉ねぎのフリッターを私の口に突っ込んだ。

「んんん!」
口いっぱいになって、もぐもぐさせてたら、八重樫さんは嬉しそうに笑った。

どうにか飲み込んでビールを飲む。
ふうっと呼吸を整え、
「扱いが雑!ひどいっ!」
と涙目で文句を言うと
「ごめんごめん」と八重樫さんは私に手を伸ばし、唇に触れた。

きゅっと、口の端を擦られ、驚いて
ぴくっとする。

「ソースついてた。ほら」
ソースを拭き取った人差し指の横を見せた。

「八重樫さんがつけたんでしょ!?」
とおしぼりで口元を拭った。

「そっか」
とまだ笑い続けている八重樫さんは指についたソースをぺろりと舐めた。

「ちょっと!舐めないでくださいよ!」
その瞬間、がたっと音がして、晴久が立ち上がった。

「智花!」
と言って私の腕を掴んで立ち上がらせる。

「俺ら、抜けます!すみません」

あっけに取られているみんなをよそに、晴久に手首を引っ張られるように連れていかれる。
「あ、に、荷物荷物」
「持ってるよ」
見ると私の鞄も持ってくれている。

「「「ええええええ」」」
背後でみんなの叫び声が聞こえる。