キーン…コーン…カーン…コーン……


本令のチャイムがなった。

全員が授業の始まりの挨拶を終え着席した。



「では数学の授業を始めます。
○ページを開いてください。」



最初の授業は大体みんなの自己紹介から入ることがほとんど。

だって先生は私たちのこと何も知らないはずだから。

でも、羽鳥先生はすぐに授業に入る様子。



「先生!自己紹介とかしなくていいんですか?」



クラスの男子が先生に質問した。

すると先生からは意外な返事が返ってきた。



「はい、担当する生徒の名前と顔はもう全員覚えてますので大丈夫ですよ^^
では、授業に入りますね。」



え、もう覚えたの!?

すごい…!

早くアタックしないと他の女子に取られちゃうかもしれない。

とりあえず今日の放課後、先生にアタックしてみようかな。



「では、問1を真壁さん。
前で解いてください。」

「……え?」

「いや、え?ではなく、問1を黒板に。」

「あ……はい。」



いや、これはチャンスでは?

ここで正解したら私のこと見てくれるよね?

よし、頑張って解くんだ、私!

教科書を持って黒板の前へ。

……いや…チャンスもなにも……

ぜんっぜん分かんない……(汗)



「真壁さん?どうしました?」

「いや……あの……(汗)」

「ふふ、すみません難しかったですね。
席に戻っていいですよ、解説します。」

「…はい。」



もー私のバカ!

せっかく私を見てもらえるチャンスだったのに。

でも、よく考えると数学でアピールするのは難しいよね。

だって私、数学全然ダメだし。

大丈夫、数学が全てではない、他のことで挑戦してみよう。

この授業が終わるまでにアタックする方法を考えて放課後アタック開始だ!




1限目の終盤、数学の教科書を机に立てて、その裏側でアタックする方法をノートに書いて考えてたときだった。

書いていた私のアタック計画ノートが誰かに取り上げられた。



「真壁さん。
隠れて自習ですか、感心ですね^^
では、放課後職員室まで。」



先生…今、ノートの中身見なかった…?

でもすごい優しい顔してた、ほんとに勉強してたと思ってくれてるのかな。

でもノート取り上げられちゃった。

ってことは……え、やばくない?

羽鳥先生に中身見られるのは非常にマズイ。

だって先生をおとす方法を色々考えて書いてたし。



「では、授業を終わります。
次回は次のページの問題を解いていくので予習しておいて下さいね。」



羽鳥先生は授業が終わるとすぐに教室を出ていった。

とりあえずノート返してもらわなきゃ!

私は急いで先生を追いかけた。



「羽鳥先生!ノート返してください!」

「廊下は走れと教わったんですか?」



相変わらず優しい顔の羽鳥先生。

でも、これはさすがに私にも分かる。

羽鳥先生怒ってる……(汗)



「真壁さん、私をおとしたいなら、まずは授業を真面目に受けることですね。
ノートは返しませんよ、放課後私のところに来てください。」



やっぱり見られてた。

終わった……私の恋……。

はぁ…放課後絶対怒られるじゃん。

やだなぁ…もうノート諦めて逃げちゃおうかな。

どうしようか考えながら私は教室へ戻った。