キーン…コーン…カーン…コーン……


朝のHRの始まりのチャイムがなった。

しかし私は今校門をくぐったばかりの所にいる。

ということは…完全に遅刻だ。


今日は夏休み明け初日。

二学期早々遅刻だよ…^^;

まぁいいよね、私の担任は三河だから。

三河(みかわ)は、教師の中で1番と言っていいほど面倒くさがり。

遅刻しても、何も怒られない。

こういうとき、担任が三河で良かったって思うよ(笑)



あ、私のこと紹介してなかったね。

私は真壁 華(まかべ はな)、高校2年生。

恋に憧れる乙女なの!

でもその前に、この男嫌いをどうにかしないと恋なんて出来るわけないんだよな…(--;)

早く私のもとに白馬の王子様が迎えに来てくれないかなぁ。



ぼーっと考えながら歩いていると教室の扉の前に到着。

いつも通り静かに扉を開けて教室に入る。



「真壁ー、早く席つけー。」

「はぁーい。」



うん、ここまでいつも通りだ。

ただ、いつもと違うことがひとつあった。

三河の隣になんか高身長のイケメンが立っている。

席について隣の席の私の大親友、美香(みか)に聞いてみる。



「おはよぉ。
ねぇ、三河の隣のあのイケメン誰?」

「おはよー。
ね!めっちゃイケメンよね!
あの人今日からうちのクラスの数学担当の教師なんだって。
あ、こっち見てる!」



イケメンの方を見ると、こっちを見ていた。



「では、HRはこれで終わるぞー。
1限目は数学、羽鳥先生よろしくお願いします。」

「はい、こちらこそ皆さんよろしくお願いしますね^^」



メガネにキリッとした目、おまけにニコッと笑うと女子たちがキャーキャー言ってる。

まさにリアル王子様じゃん。

でも数学教師でしょ?

私の敵だ、なぜなら数学なんて大嫌いだから。

私は根っからの文系女子。

数学なんて出来なくても生きていけるし。

足し算引き算出来ればいいじゃん。

まぁ、一学期までのおじいちゃん先生より、授業中イケメン眺めれる方が嬉しいし、良いか!



「真壁さん。」

「ビクッ)わっ……は、はい!」



いきなり後ろから名前を呼ばれてビックリした。

あ、さっきのイケメン教師だ。



「さっき遅刻してきたでしょう?
自己紹介した時にいなかったので挨拶をと。
数学担当の羽鳥です、よろしく^^」

「あ…こ、こちらこそ!
よろしくお願いします!」

「1限目は遅れないように^^」



爽やかスマイルで教室を出ていった羽鳥先生。

やばい、かっこいい…



「華!良かったじゃん羽鳥先生と話せて!
優しいよね、羽鳥先生。
数学楽しみだね^^」

「うん、楽しみ!
やっと私にも白馬の王子様が現れたかも。」

「え、華あの先生狙うの?
頑張れー、応援するよー(棒)」

「何その棒読みは(笑)」

「だって生徒と教師の恋なんて、なかなか叶うもんじゃないじゃん?
でもほんとに出来たら禁断の恋だよね。
ワクワクするねぇ。」



そんな女子トークをしながら1限目の数学の授業の準備を終えた。

確かにイケメンでカッコイイ。

惚れたのは事実だけど、最後の笑顔の奥に隠れた冷たい感じは何だったんだろう。

ま、気のせいだよね!