勘違いはステキなはじまり

「大丈夫じゃないだろ」

 潤は私の手からおしぼりを取り、テーブルを拭きながらそう言った。

「ありがとう」

 お礼を言いながら、ちょっとしょんぼりな感じで肩をすくめる。

「うん。で、もうあっちは大丈夫なのか?」

 チラッと晴人の方を見ながら聞いてきた。

「ん?晴人のこと?」

 まだ気づかってくれているんだと思うと、顔がほころんでしまった。

「うん。え、なに?なんで笑うの」
「いや、潤って優しいね」

 普段こんなことなんて絶対言わないし、言えない。

 同窓会という、気の知れた人達ということと、お酒を気分よく飲んでいるせいだろうか。

「知らなかった?」
「うーん……でも、ほんとそう思ってたよ、高校の時もたぶん」
「ほんとかよ」
「いや、今、気がついた」
「遅いわっ」
「イタッ」

 潤に軽くデコピンされて、大げさにイタタタと痛いふりをして笑いながら潤を見ると、目が合った。

「あのさ、今、話していい?」
「はい、なんでしょう?」

 首をかしげ、わざとらしくにっこり笑顔で返すと、潤が真顔で話しはじめた。

「俺、冴彩が好きだ」
「へっ!?」

 な、なに言ってるの、この人!?

 両手を頭に抱え、頭の中は大パニック。

「言っただろ?今度会った時に言おうと思ってるって」
「え、誰に?えっ、なに!?」