勘違いはステキなはじまり

 店内へ入ると、五年ぶりとは全く思わせないぐらい盛大に盛り上がっていた。

 一番奥のテーブル席では体育会系のメンバーが集まっていて、その中に晴人の姿を見つけた。

 みんなと楽しそうにしている様子を見ていると、この五年の間に海外赴任があったことなんて考えられないぐらいだ。

 茉莉は時間ギリギリに駆け込んできて、今はサッカー部の人達の輪に入り話し込んでいる。

 そして私はというと、潤と一緒に二人肩を並べてお酒を飲んでいた。

 学生の頃、潤とはあまり話す機会はなかったと思う。そう思い返すと、いつも隣でなにも言わずとも存在感はある人だった。

 晴人のことを目で追っていると、時々、潤と目が合ってしまってはドキドキしていたな。晴人への気持ち、バレたかなって。

 決してなにかそのことを言われたことはなかったけれど、気づいて気づかぬふりをしてくれていたのかもしれないなと、今頃になって思う。

 そう思うと潤という人は、気づかいと思いやりがある人かもしれない。

 そんなことを考えていると、突然、潤から話しかけられ危うくグラスを落としそうになり、少しこぼしてしまった。

「ごめん、いきなり悪い。大丈夫?」
「あ、大丈夫、大丈夫」

おしぼりで、濡れたテーブルを拭きながら潤の方を見て答えると、なんだか少し微妙な顔つきをしている。