今年も寒い季節がやってきた。

 たしか去年の今頃は、斗和ちゃんのジャンパーが小さくなったってLINEが彼から来て、服のおすすめサイト教えてたっけ?  
そして、彼がそのサイトを使ってくれて、柚希とお揃いのジャンパーを買ってた。

 どんな些細なことでも、彼と関われるのが嬉しかったな。今もだけど。

 ちなみに今は、一緒にそのサイトを見ながら選んだり、お店に買いに行ったりもしている。
 あの時よりも進展している。

 今年もそのお揃いのジャンパーをふたりは着ていた。

 進展といえば、お付き合いを始めてから、彼の家で過ごすことが多くなっていった。

「ねぇ、パパ! 今日、柚希ちゃんと一緒に寝たい!」
 
 いつものように、ご飯を彼の家で食べていた時、斗和ちゃんが言った。

 私は彼と目を合わせる。
 彼の家に泊まったことは、まだない。

「斗和、柚希ちゃんたち、もうすぐ帰らないといけないんだよ! また今度きちんとお約束してからにしようね」
「私も斗和ちゃんと一緒に寝たいな」
 柚希も言い出した。
「柚希、もう少ししたら帰ろうね?」
「私、帰らないよ!」
「じゃあ、ママひとりで帰るの?」
「うん」
 帰ろうって柚希に言ってるのに、私はその言葉に反比例して、泊まりたいという気持ちがふつふつと湧いてきた。

「生田さん、明日は土曜日ですが、お仕事ですか?」
「いえ、休みです」
「私もお休みです」
 ここで私は言葉を止める。
「……じゃあ、江川さんがご迷惑でなければ、泊まっていきますか?」
 素直に泊まりたいって言えばいいのに、明らかに今、この言葉、察して?みたいなところで私は言葉を止め、彼に気をつかわせてしまった。申しわけない気持ちになった。
 
 ――彼の家でお泊まり。心がそわそわする。