先生愛してる

事務室で作業をしていると少し落ち着いてきた。
コピー用紙の束をどんどん重ねて整理していく。
結構力仕事なのでいつも苦労しているが、これが自分の仕事だ。
やはり最後の2束が届かない。
背伸びしながらようやく1束片付ける。
もう一回。
上に乗せようと背伸びしていると、突然腕が軽くなる。
驚いて固まってしまった。
後ろから声が降ってくる。
「中谷さん大丈夫。」
この声にドキドキしてしまう。
「上に乗っけたらいいんだよね。はいおしまい。」
緊張しながらも振り返ると橋本先生がいつもの笑顔で立っていた。
「あ、ありがとうございます。」
慌ててお礼を伝える。
頭は真っ白でお礼しか出てこない。
「小ちゃいんだから困ったらいつでも呼んでね。」
頭の上に手が置かれる。
自然にタッチされて私の思考は停止中。
「毎日牛乳飲んでいるので大丈夫です。」
何も考えられず可愛くない一言を放ってしまう。
「あはは。いつか僕を超えられるかな。」
大笑いしている顔もかっこいい。
「それは無理ですね。」
また可愛くない一言。
どうしたら可愛く答えられるのだろう。
「本当に中山さんは可愛いなあ。」
またね、と笑顔で言いながら去っていった。
可愛いって...。
可愛いって言われた。
その一言で一日の仕事が頑張れた。