「花菜、どこ行きたい?」

「じゃあ、いつものカフェ!」


いの一番にバッグを背負った花菜ちゃんは、すでにテンション全開だ。


「いいね!隣町の駅裏にお洒落なカフェがあるんだ」

「へー、そうなんだ。行ったことないなぁ」

「超オススメ!」


午後から部活動のある生徒たちの羨ましそうな視線を受けながら、帰宅部の私たちは教室を出る。


その中に混じって彼女の嘲笑するような、蔑むようなじっとりとした視線を感じたけれど、それには気づかないふりをする。


わざわざ同じ土俵に立つことをしなくてもいい。

なにか反応を示せば彼女の思う壺だろう。



「あそこまで執拗につき纏うなんて…」

「あいつ、なんかあったのかな?」


結衣ちゃんが呟けば、花菜ちゃんがそれに続いて尤もな疑問を口にする。

それに反応してドキリとしたのは私だった。