私たちが体育館に着いた時、ちょうどホイッスルの音が聞こえた。
「あ、やべ…試合始まった」
「え、いい、の?」
「残りのやつらで出てるだろうから大丈夫だろ!つーか、コレ中入れねーな…」
入口とは反対のステージ側で行われている男子の試合は、ここからでは人に隠れて見えない。
試合が始まってしまった体育館には、もう踏み入ることはできなかった。
「外で待とうぜ?」
そう外を指し示す高瀬くんに、私は首を横に振る。
それに一瞬、彼は拍子抜けしたような表情を浮かべたけれど、これ以上モテる彼と時間を共有したくはないのが本音。
「私は、ここにいる」
「1人でどうぞ」という意味を込めてはっきりそう言うと、私はあい子に入口にいることをメッセージで送った。
「じゃ、俺もここで待つ」
今度は私が驚いた。
どうやら私の意図は伝わらなかったらしい。