「…あいつら、また、さくらを…」
悔しくて、情けなくて。
この事態を想定できなかった自分自身に、強く怒りを感じる。
集団で1人の女の子を取り囲むなんて、狂気の沙汰だ。
寄って集って辱めようなんて、間違っている。
「あいつらって…。1人じゃないのか」
それに愕然と声を漏らすと、高瀬は誰かに電話をかけ始めた。
「たぶん、方向的にサッカー部の倉庫だと思う」
校舎内を手分けして探したけれど、どこにもいる気配がない。
誰がこんな酷いことを仕組んだのか、この時には私も高瀬もなんとなく理解していた。
(お願い、さくら無事でいて)
倉庫に着くと、高瀬が力任せに扉を開く。
そこに広がる光景は、地獄そのものだった―――。