「俺の友達が、小峰さんが派手な金髪の男と歩いてるのを見たらしいんだ」


首を横に振る私に、高瀬の口から信じられない事実が語られる。


(まさか…)


その話に、嫌でも思い浮かべるのは1年前の出来事だ。

私の記憶の中の姿は決して金髪ではなかったけれど、もうそうとしか考えられなかった。


「校舎の奥の方に向かっていったって言うんだ」

「小林さん、大丈夫?」


今にも倒れそうなほど、ふらり、と自分の軸を見失った私を高瀬と一緒にいた鈴木が支える。


私の反応を見て、きっとみんな最悪の事態が頭を過ったはずだ。

結衣も勢いよく腰を上げる。


「探しに行ってくるから、待ってて。大丈夫だから」


そんな根拠、どこにもないのに言葉だけでも私たちを安心させるように言い残すと、高瀬は動き出した。


「私も行く」


私は居ても立ってもいられず、高瀬の背中を追いかけた。