「あい子、どうしたの?」
受付の担当をしていた結衣が、1人、挙動不審な私を見て不思議顔で尋ねる。
「さくらがいないの」
「どういうこと?」
私の返答に、彼女は更に訝しげな表情を見せる。
「ポイントにもいなかったみたいだし、探してもどこにもいなくて…」
私の説明も全く要領を得ていなかっただろう。
客の相手をしながらも結衣は、この状況を把握しようと私への問いを重ねていく。
その時―――。
「小林さん!」
小走りで向かってくる、余裕なさげな高瀬の声が遠くからでも明瞭に私を呼ぶ。
その姿に、相乗効果で不安は大きくなる。
「小峰さんは?」
切羽詰まった様子に、さくらになにかあったのだ、と朧げだった嫌な予感が確信に変わる。