「さくらー!」
後ろから聞こえた声に振り返ると、花菜ちゃんが手を振り私を呼んでいた。
見ると結衣ちゃんの席にみんな―――あい子を含めた、が集まっている。
いつもは向こうから私のところに来るのに、珍しいな、と思いながら呼ばれた方に行く。
「なに?」
「球技大会、なにに出る?」
なんともタイムリーな話題に、思わず私の口から苦笑が零れる。
どうやら今、うちのクラスの話題はそれで持ちきりらしかった。
「みんなはどうするの?」
「できたらみんなでバスケかバレーにしたいなって」
「私もバスケかバレーがいいって思ってた」
「じゃあ、決まりだね」
みんなも同じ思考をしていたことに、私は集団心理のような安心感を得る。
今日も結衣ちゃんと花菜ちゃんは楽しそうでなによりだ。