―――午後の授業をまるまるさぼってしまった私たちは、終業のチャイムを聞いてサッカー部の人たちを驚かせないようにと古い倉庫の方に移った。
橋本くんを通じてあい子に連絡を取ってくれた高瀬くんは、しばらくしてやってきたその姿を確認すると入れ替わりにそこを出ていった。
村上さんのところへ向かったのだろうその背中を、複雑な気持ちで見送る。
「さくら!」
駆け込んでくるなり私を強くその腕の中に閉じ込めるあい子に、胸が苦しくなる。
また、あい子を傷つけてしまった。
「さくら、大丈夫?」
「なにもされてない?」
傍らには結衣ちゃんと花菜ちゃんもいて、口々に心配してくれる。
そんなみんなを安心させようと、私は自然と口元に笑みを形作った。
「大丈夫だよ」
それでも硬い表情を崩さない2人や、ぎゅ、と腕の力を強めるあい子に上手く笑えているだろうかと自信が失くなる。