「え、ちょっと…」
周りにいた人たちもこの状況に気がつき、次第に動揺が教室中に蔓延していく。
ガタリ、それを理解した高瀬くんが立ち上がる。
「人の男に手を出したりするから恨まれてるんじゃない?」
ざわざわと揺れる教室内に、喧騒にも負けないはっきりとした声が響く。
異様なほどの冷淡さ。
嘲笑を孕んだ声は、村上さんだ。
「っ、おまえ、」
「なによ。私は本当のことを言っただけ。自業自得でしょ?」
咎めようとする高瀬くんを遮り私への敵意を吐き捨てる村上さんに、あい子が怒りのままに感情をぶつけようとする。
「いい加減にして!こんなこと…」
「私がやったって言うの?そっちこそ、証拠もないのに言いがかりはやめてよ」
その台詞はどこか余裕すら感じさせる。
絶対にばれない自信があるのだろう。