「…どこ行ったんだよ!」
会場の出入口はもうすぐそこだ。
打ち上げ開始までもう間もなく、というアナウンスが流れ始める。
これまでの道中にその姿はなかった。
駅に向かうにはこの方面で合っているはず。
なのに、なんでどこにもいないんだよ。
見逃した?
別の通路を行ったのか?
引き返そうかどうしようかと思案していたその時、見間違えるわけがない彼女の後ろ姿が視界の端に映った。
ぼんやりと浮かび上がる彼女の肌の白が、祭りの明かりとは対照的な夜闇に、今にも溶けて消えてしまうような気がして。
待ってくれ!
焦って声をかけた。
「小峰さん!」