授業が終わった教室には、どことなくよそよそしい空気が流れていた。
こっそりとしているつもりでも、ちらちらと視線を送ったり、ひそひそと噂話を囁いているのは分かるもの。
憐れみを向けるふりをして、その心中は他人のゴシップに興味本位で首を突っ込みたいだけだ。
結局は他人事で無神経に引っかき回すその精神が、一番相手を傷つけることになるなんて思いもしない。
先ほどの現場に居合わせていなかった人たちは、そのどこか異様な雰囲気に不思議そうな顔を見せる。
高瀬くんもそのうちの1人。
自分がその渦中にいるのだと、彼が理解するのもそう遠くはないだろう。
「さくら、大丈夫?」
昼休みになると心配そうな表情をした結衣ちゃんが、周りに配慮してか、声を潜めて私に話しかける。
その心中も、なんと答えるのが正解なのかも、私には分からなくてなにも答えることができない。
「…さくらが言いたくないなら無理には聞かないけど、いつでも頼ってよね。なんならうちらが言い返してあげるから」
優しく気遣ってくれる結衣ちゃんに、不安そうに私を見つめる花菜ちゃん。
その様子に無言を貫くあい子が怖い。