「あーあ、残念。あとちょっとだったのに」
浅倉くんは私を前に、笑みを崩さずそう言ってのけた。
騒ぎに気づいてやってきた先生たちも、顔を真っ青にするくらい。
彼らは表向き、校内での暴力行為で処分された。
私への配慮だったのだろう。
このことは他の生徒たちには他言しないように、と先生たちから言われた。
学校にとってもその方が都合がよかったのだろうけれど、私にはありがたい提案だった。
ところが翌日、学校の雰囲気は一変していた。
すでに噂が広がり、まるで汚いものでも見るような軽蔑の眼差しを向けられた。
これ幸い、と朝倉くんたちの取り巻きに都合よく書き換えられた真実に、周りは敵だらけだった。
それが、全てだった。
あの日、最後に浅倉くんが吐き捨てた言葉だけは。
それだけは、今でも忘れることができない―――。