それまで住んでいたマンションを引き払い、東北の小さな町へ。知り合いのつてで、ちょうど空いていた手頃な物件を購入し、つつましい規模の花屋を開いた。諸々の資金はわずかな退職金とこつこつ貯めてきた貯金だ。贅沢をしなければ生きていける。

そして…この町にはあなたがいる。

「どうしてきみがここに!」

会社の前で佇んでいたわたしを一目見るなり、あなたは驚いた声を上げた。

その顔は見る影もなくやつれていたけれど、わたしが愛したあなただ。