議題はもちろんあの映像だ。社のイメージを落とすために悪意の第三者がインターネットへ流出させたという。

杉山とあなたへの矢継ぎ早の質問はほとんど尋問に近かった。二人ともいつもの傲慢さも鋭さも消え失せてしどろもどろだったが、映像に映っているのは自分であると渋々認めた。認めるしかないだろう。しかしいつどこで映像データが盗まれたのかわからないと言った。

喧騒としていた会議は次第に静かになり、最後に、社長が厳しい表情のまま、こう言い渡した。

「杉山君と黒川君の処遇については追って伝える。以上だ。解散」

わたしへの質問はついに行われずに会議は終わった。