着いた場所を見渡す。

 辺りは野原で何もない。その中にぽつんと建っている大きな灰色の倉庫。シャッターを開けると、部屋みたいになっていた。ソファーやテーブルもあって、布団までひいてある。
「ここ、俺についてきてくれる、俺みたいに居場所のない奴らが快適に過ごせるために作った場所なんだ」
 彼は愛おしそうに倉庫の中を見つめた。

「そうなんだ……」

 私も彼と同じ方向を見つめた。
 見つめていると人の話し声がした。
「おっ! 総長、隣にいる女の子は誰っすか?」
 ふたり組の男の子のひとりが話しかけてきた。

「同じクラスの子」

 さっきふわっと見せてきた優しい笑顔が嘘だったかのように、クールに瀬戸くんは答える。

「女の子連れてくるの、珍しいっすね」
「あぁ」

 気のせいかもしれないけれど、瀬戸くんが私の前に出て、私の姿を話しかけてきた人たちから隠している。なんでだろう?