――えっ? 私は今から瀬戸 一翔(せとかずと)くん、あなたの心の中を覗くの?

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 私、相田 唯花(あいだゆいか)。高校二年生。

 実は小さな頃から、ある場所に行くと特殊能力が使える。それに気がついたのは、占い師をやっているお母さんについていき、その場所へ行った時だった。

 ある場所というのが『占いの館 クルール』。そこでだけ私は、人の心の中を覗けるようになる。その人の心の中の色と、言葉が途切れ途切れにほわっと頭の中に浮かんできて。

 ちなみに今そこで、夜だけバイトをしている。

 通っている高校が近いからか、生徒もここに来る。正体を知られ、お互いに気まずくなったり、相手が私に悩みを相談しづらくなっちゃったりする可能性もある。そういうの嫌だなって思って、ここでバイトをしていることが知り合いにバレないよう、赤紫色のフェイスベールで目元以外を隠していた。
 話し方もいつも学校では、ぼそぼそとした話し方で、占いの館 クルールでは、はっきりと明るい声で話をし、ふたつの場所で差をつけたりもしていた。