僕はガクッとうなだれるように顔を下げた。
そして自分の手を強く握りしめた。

「おい…雄司…?」

肩を貸してくれていた、優介が話しかけた。
僕は少しの間黙っていたが、小さく口を開いた。

「僕……千賀子を助けに行くよ…」

僕は低く押し殺すような声で呟いた。
そして優介の肩から手を離して、一人でまだ痛みが残るお腹を軽く押さえて立った。

「雄司!…お前正気か?」

優介が僕の両肩を勢いよく手で掴んで言った。

「雄司…それは僕も賛成出来ないよ…」

愛理を慰めていた蓮二が僕に言った。
愛理はもう泣き止んでいるらしく、静かだ。
僕は小さな溜め息を吐く。

「はぁ……千賀子はね…僕の幼なじみなんだ…。そして…いつも僕は千賀子に助けられてばかりなんだよ…だから……今度は僕が千賀子を助けたいんだ!」

僕は話しているうちに昔の事を思い出して、思わず懐かしさを感じた。
千賀子を助けられるかどうかも分からないのに、不思議と助けられるような気がした。