身体中の神経を衝撃が駆け巡り、僕は勢いに逆らう事も出来ずに地面に倒れ込んだ。

「っ!…ガ…ハッ…」

口の中は薄らと血の味がする。
僕は体を起こそうとする、だけど体は言うことを聞いてくれない。
体が鉛のように重たい。
呼吸もしずらくて、息苦しい。

「雄司!大丈夫か?!……お前!!…誰だ!」

優介が心配そうにしゃがみ込んで、僕の肩を軽く揺する。

「く…だ、大丈夫…だよ」

僕は重たい体をやっとの事で上半身だけ起こした。
そして僕は目の前に居る、誰とも分からない相手へと顔を向ける。

「…チキュウノ…ニンゲンダナ」

僕は相手の声を聞いた途端に、ゾクッと背筋を凍らせた。
声からして女の子、前の『神の使い』と名乗った男と同じように僕らと同い年に感じる。

「アナタは誰なの?私たちは…人間よ」

僕と優介が少女を見ていると、琴音がポツリと少女に話しかけた。
少女はクスクスと怪しいような笑みを浮かべて、笑っている。

「ワタシノナマエハネ…ナマエハネ…チ……。…チキュウノニンゲン……愚カダ…ヒヒヒッ」

少女は琴音の問いに素直に答えた、だが名前だけは聞き取れ無かった。
少女は喉の奥から低く引き吊るような笑い声を上げた。

「聞こえないわ、アナタの名前は?…アナタは人間じゃないの?」

琴音も名前を聞き取れなかったのかもう一度同じ問いをする。
そして見た目は僕には分からないが、人間の姿に近いのだろう。
琴音が少し言いづらそうにもう一言付けたしをして、恐る恐る少女へ訪ねた。
僕と優介は琴音と少女のやり取りを聞きながら、ゆっくりと後ろへ後ずさる。