「じゃあそろそろ行くか!」
「うん!」
私達は手を繋ぎ直してから歩き始めた。
「それでどこに行けばいいのかな……?」
「そうだなぁ……。葵は何がしたい?」
そう聞かれても特に何も考えていなかったから困ってしまった。でも折角だし何か思い出に残ることをしたいな……。
「うーん……。じゃあ映画とか見たいかも……」
「よしっ、じゃあ映画館に行こう!」
「うん!」
こうして私達は映画館へと向かうことにした。
映画館に着いた後、私達は恋愛系の映画のチケットを2枚買って中に入った。私はどんな内容なんだろう……と少し楽しみにしながら席についた。そして上映が始まった。
「ねえ、葵」
隣に座っている彼が話しかけてきた。
「なに?」
「手、繋ごう」
彼はそう言って私の手を握りしめてくる。ドキッとした私は反射的に彼から顔を背ける。心臓がバクバクと音を立てている。こんなの反則だよ……。不意打ちなんてずるい……。
「嫌だった?」
「全然っ!!」
私は慌てて首を横に振る。
「そう?それなら良かった」
彼は満足げに笑うと再びスクリーンの方に向き直った。私は顔の熱を冷ますために自分の頬に手を当てた。とても熱い……。きっと真っ赤になっているんだろうな……。