30点でも愛されてます!

そこには大勢の人がいたけれど、私みたいな身なりの人はいない。
人が多い分、駅前よりもさらに私は浮いてしまった。
どうしよう?
帰る?
そうだよね。
道が分からなかったから帰ったって言えば良い。
そう思った刹那…



「雅美~!!」



大きな声で私の名前を呼ぶのは、もちろん遼だ。
みつかってしまった。
もう逃げられない。



遼が駆けてくる。
どんどん近付いて来る遼…私は顔をひきつらせながらその場に立ち尽くす。
だって、遼の後ろには女子の団体がいて、遼と同じように走って来るんだもん。



「良かった。迷わずに来れたんだね。」

「う、うん。」

私達の会話を女子達が聞いている。
遼は気にならないのかな。



「執事カフェは……」
「遼、この人、誰なの!?」



私を指さして質問したその人は、背が高くすごくスマートで美人で…モデルさんみたいな人だった。



「あぁ、皆にも紹介するね。
田村雅美さんだよ。」

「そうじゃなくて、どういう知り合いかって聞いてるのよ!」

「あぁ、僕の彼女だよ。」



「えーーっ!」



そこらにいた女子が一斉に声を上げた。
皆の敵意に満ちた視線が突き刺さる。