最初に倒れた日、私は40度の高熱を出した。
治癒魔法を使っても効果はなく熱がひくことはなかった。


次の日、前司祭様に診てもらったことで
原因が"魔力による体内暴走"だということがわかった。

"魔力の体内暴走"は、
その名の通り魔力が暴走し身体の中を攻撃する。
魔力持ちにごく稀におこる病で、
発症した9割以上の人が
3日のうちに死に至るという恐ろしい病だ。
治すためには魔力の暴走を止めるしかない。

魔力は無理に他者が止めようとすると
逆効果で魔力同士が反発しあい
両者の死を招いてしまう恐れがある。

この病を治した1割の人は
魔力が少なかったことで意識を失わずに済み
魔力をコントロールする手ほどきを受け
"自分の意思"で暴走を止めてることができた人達だった。

私はクロウド家特有の巨大な魔力を持っていた為
体内で大暴走がおき、40度の熱が出て
意識を保つことができず治療は絶望的な状況だった。


そんな中、状況を変えたのは
賢者で大魔法使いのお父様だった。

お父様は天才的な才能を使って
私の体内で暴走する魔力を"奪う"事に成功した。
命にもかかわる大きな掛けだったらしい。

5日かけて、規格外な手方法と
天才的なコントロールを駆使し
私から父へ魔力を流しつづけることで
ようやく魔力は落ちつき熱は下がった。
(本当にお父様には感謝してもしきれない・・)


喜んだのも束の間、
病の治療には成功したものの
待てど暮らせど私は目を覚まさなかった。

日本でいう"植物状態"となった私は、
"精神の接触"の魔法が使える前司祭の元に預けられ
目覚めるよう精神に語り続けてもらっていたらしい。
(結局、一度も接触はできなかったみたいだけど・・)

私が前司祭の屋敷に運ばれてからは
マリアも一緒に屋敷へ移り住み
入浴や洗濯等のお世話をしてくれていたらしい。

その間、いつ目が冷めるのか
そもそも目を覚ますのかどうかも分からない状況で

私が意識を取り戻すまで・・










5年の月日が流れていた。